臨床試験:心原性脳塞栓症予防症
ROCKET-AF:海外第III相試験/非劣性試験
イグザレルトは、国内および国外の第I~III相試験成績を基に承認されました。承認時に評価されたデータを紹介しますが、一部国内の承認内容と異なる成績が含まれています。
試験概要
ROCKET-AF:海外第III相試験/非劣性試験
目的
有効性におけるイグザレルトのワルファリンに対する非劣性を検証すること
対象
非弁膜症性心房細動患者14,264例(心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病のうち2つ以上のリスクを有する、又は虚血性脳卒中/TIA/全身性塞栓症の既往を有する患者)
方法
イグザレルト20mg(クレアチニンクリアランス30-49mL/minの患者には15mg)※ 及びワルファリンプラセボ、あるいは用量調節ワルファリン(目標PT-INR:2.0-3.0)及びイグザレルトプラセボを1日1回投与し、最長42ヵ月間観察した。
評価項目
有効性主要評価項目:脳卒中又は全身性塞栓症
安全性主要評価項目:重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血
副次評価項目 :主要評価項目の個々の項目
脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞又は心血管死
重篤な後遺障害の原因となる脳卒中
全死亡 など
解析計画
有効性主要評価項目で非劣性(プロトコール適合集団/治験薬投与下、非劣性マージン1.46)が検証された場合、優越性(安全性解析対象集団/治験薬投与下)について解析した。また、優越性に関する補足的有効性解析をITT解析対象集団にて行った。安全性主要評価項目に関して優越性(安全性解析対象集団/治験薬投与下)を検討した。事前に計画された解析として、年齢、腎機能別、体重別、糖尿病の有無別などのリスク因子別に解析を行った。
判定基準
重大な出血は、2g/dL以上のヘモグロビン量の低下を伴う出血、2単位以上の輸血(濃厚赤血球又は全血)が必要な出血、重要な臓器における出血、死因となった出血とした。重大ではないが臨床的に問題となる出血は、「重大な出血」の定義を満たさないが、医学的な介入、規定外の来院又は電話による問診や治験薬の投与中止(中断)を必要とする、痛みなどの不快な症状を伴う、あるいは日常生活に支障を来す明らかな出血事象と定義した[国際血栓止血学会(ISTH)基準]。
※国内外の臨床試験成績を用いた薬物動態シミュレーションの結果, 日本人に15mg1日1回および外国人に20mg1日1回のイグザレルトを投与した際の曝露量は同程度であることが確認されている。なお、国内承認用法及び用量は、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制においては、通常、成人にはイグザレルト15mg(腎障害のある患者に対しては、10mg)1日1回食後経口投与である。
承認時評価資料、Patel MR et al. N Engl J Med 2011: 365: 883-891
COI:本研究はバイエルの資金により行われた。また、著者にバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。
主解析結果
[安全性主要評価項目]
- 重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血
[有効性主要評価項目]
- 脳卒中又は全身性塞栓症
■安全性主要評価項目:
- 重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率は、イグザレルト群14.9%/年、ワルファリン群14.5%/年であった(ハザード比:1.03[95%信頼区間:0.96-1.11]、p=0.44*)。
■有効性主要評価項目:
- 有効性主要評価項目(脳卒中又は全身性塞栓症)の発症率は、イグザレルト群1.7%/年、ワルファリン群2.2%/年であり、イグザレルトのワルファリンに対する非劣性が検証された(ハザード比0.79[95%信頼区間:0.66-0.96]、非劣性マージン 1.46、p<0.001*)。
*Cox比例ハザードモデル
承認時評価資料、Patel MR et al. N Engl J Med 2011: 365: 883-891
糖尿病患者における安全性・有効性(サブグループ解析)
安全性:安全性解析対象集団/治験薬投与下、有効性:プロトコール適合集団/治験薬投与下
解析方法:Cox比例ハザードモデル
Bansilal S et al. Am Heart J 2015; 170: 675-682より作図
COI:本研究はバイエルの資金により行われた。また、著者にバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。
有害事象
承認時評価資料、Patel MR et al. N Engl J Med 2011: 365: 883-891