リアルワールド(実臨床)
AFIRE:安定冠動脈疾患合併心房細動患者*に対する抗血栓療法の検討
*:本邦で承認された効能又は効果は「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」です。
試験概要
目的
安定冠動脈疾患を合併する日本人AF患者において、リバーロキサバン単剤療法とリバーロキサバン+抗血小板薬併用療法の有効性・安全性を比較検討すること。
評価項目
- 有効性主要評価項目:
心血管イベント(脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、再血行再建術を必要とする不安定狭心症)、全死亡の複合 - 安全性主要評価項目:
重大な出血 (ISTH基準) - 副次評価項目:
NACCE(総死亡、心筋梗塞、脳卒中、重大な出血の複合)、有効性主要評価項目の個々の項目、すべての出血 など
解析計画
リバーロキサバン単剤療法群の抗血小板薬併用療法群に対する有効性主要評価項目の非劣性(mITT解析対象集団、非劣性マージンは1.46)を検証した。また、安全性主要評価項目の優越性(安全性解析対象集団/治験薬投与下)を解析した。事前に規定された解析として、年齢、性別、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコアなどのリスク因子別に解析を行った。
判定基準
心血管イベントは、脳卒中(脳梗塞、出血性脳卒中)、TIA、心筋梗塞、入院を必要とする不安定狭心症、大動脈プラーク、全身性塞栓症、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、慢性動脈閉塞性疾患)、PCI施行、CABG施行の複合とした。重大な出血(ISTH基準)は、2g/dL以上のヘモグロビン量の低下を伴う出血、2単位以上の輸血(濃厚赤血球又は全血)が必要な出血、重要な臓器における出血、死因となった出血とした。
NVAF:非弁膜症性心房細動、PCI:経皮的冠動脈インターベンション、CABG:冠動脈バイパス術、CAG:冠動脈造影検査、TIA:一過性脳虚血発作
本邦で承認された用法及び用量
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113
患者背景
*:平均値±SD
Copyright©2019 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113.
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.2
腎機能障害患者
9.2.1
腎不全の患者
投与しないこと。成人を対象とした国内外第Ⅲ相試験において、クレアチニンクリアランス15mL/min未満の患者は除外されている。
9.2.2
重度の腎障害患者
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
本剤投与の適否を慎重に検討すること。本剤の血中濃度が上昇することが示唆されている。国内外第Ⅲ相試験において、クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者は除外されている。
9.2.3
中等度の腎障害のある患者
本剤投与の適否を慎重に検討すること。成人ではクレアチニンクリアランス30~49mL/min、小児ではeGFRが30~60mL/min/1.73m2の患者で本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、出血の危険性が増大することがある。
9.8
高齢者
一般に腎機能などの生理機能が低下している。なお、非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、重大な出血及び重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率が高かった。
有効性/安全性
[有効性主要評価項目]
- 心血管イベント、全死亡の複合
ハザード比:Cox比例ハザードモデル、非劣性マージン:1.46
Copyright©2019 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113.
安全性主要評価項目
- 重大な出血(ISTH基準)
ハザード比:Cox比例ハザードモデル
Copyright©2019 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113.
- 評価項目
n(人年あたりの発現率%) ハザード比:Cox比例ハザードモデル、非劣性マージン:1.46
Copyright©2019 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113
- 有害事象
有害事象は、発現頻度が高かった上位3事象を記載
*mITT解析対象集団:リバーロキサバン単剤療法群(n=1,107)、抗血小板薬併用群(n=1,108)
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113. より作成
有効性/サブグループ解析
- 心血管イベント、全死亡の複合
ハザード比:Cox比例ハザードモデル
Copyright©2019 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113.
- 重大な出血(ISTH基準)
ハザード比:Cox比例ハザードモデル
Copyright©2019 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
Yasuda S et al. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113.
Limitation:
◇オープンラベルで実施された試験である。
◇患者の同意撤回、追跡不能症例が比較的多い。
◇日本で承認された用法用量で実施された試験である。
◇併用する抗血小板薬は医師の裁量により選択された。
◇試験の早期終了により有効性データを過大評価している可能性がある。
◇リバーロキサバン単剤療法における虚血性イベント、全死亡の発現率現象については、説明が困難である。
COI:
AFIRE試験は、循環器病研究振興財団とバイエル薬品株式会社が研究契約を締結し、バイエル薬品株式会社が研究費用を支援しました。バイエル薬品株式会社は、本研究の計画、実行、解析、評価には関与していません。本内容は、研究契約に基づき、公表された論文の二次利用としてバイエル薬品株式会社が作成したものです。