臨床試験:心原性脳塞栓症予防

J-ROCKET AF:国内第Ⅲ相試験/非劣性試験

試験概要

J-ROCKET AF:国内第Ⅲ相試験/非劣性試験

目的

安全性におけるイグザレルトのワルファリンに対する非劣性を検証すること

 

対象

日本人の非弁膜症性心房細動患者 1,280例(心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病のうち2つ以上のリスクを有する、又は虚血性脳卒中/TIA/全身性塞栓症の既往を有する患者)

 

方法

イグザレルト15mg(クレアチニンクリアランス30-49mL/minの患者には10mg)及びワルファリンプラセボ、あるいは用量調節ワルファリン(目標PT-INR:70歳未満は2.0-3.0、70歳以上は1.6-2.6)及びイグザレルトプラセボを1日1回投与し、最長31ヵ月間観察した(平均投与期間:イグザレルト群498.9日、ワルファリン群481.1日)。

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評価項目

  • 有効性主要評価項目:
    脳卒中又は全身性塞栓症
  • 安全性主要評価項目:
    重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血
  • 副次評価項目:
    主要評価項目の個々の項目
    脳卒中、全身性塞栓症又は心血管死
    脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞又は心血管死 など

解析計画

安全性主要評価項目に関して非劣性を検証した(安全性解析対象集団/治験薬投与下、非劣性マージン:2.0) 。有効性(プロトコール適合集団/治験薬投与下)についても評価し、さらに本試験における有効性及び安全性成績をROCKET-AFと比較検討することで、日本人への外挿可能性を評価した。

事前に計画された解析として、年齢、腎機能、糖尿病の有無などのリスク因子別に解析を行った。

 

判定基準

重大な出血は、2g/dL以上のヘモグロビン量の低下を伴う出血、2単位以上の輸血(濃厚赤血球又は全血)が必要な出血、重要な臓器における出血、死因となった出血とした。

 

重大ではないが臨床的に問題となる出血は、「重大な出血」の定義を満たさないが、医学的な介入、規定外の来院又は電話による問診や治験薬の投与中止(中断)を必要とする、痛みなどの不快な症状を伴う、あるいは日常生活に支障を来す明らかな出血事象と定義した(ISTH基準)。

 

承認時評価資料:Hori M et al. Circ J 2012; 76: 2104-2111

COI:本研究はバイエルの資金により行われた。また、著者にバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。

主解析結果

[安全性主要評価項目]

 

  • 重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血
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[有効性主要評価項目]

 

  • 脳卒中又は全身性塞栓症
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■ 安全性主要評価項目:

重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率は、イグザレルト群18.04%/年、ワルファリン群16.42%/年であり、イグザレルトのワルファリンに対する非劣性が検証された(ハザード比1.11[95%信頼区間:0.87-1.42] 、非劣性マージン2.0、p<0.001*)。

■有効性主要評価項目:

脳卒中又は全身性塞栓症の発症率は、イグザレルト群1.26%/年、ワルファリン群2.61%/年であり、イグザレルト群で低値であった( ハザード比0.49[95%信頼区間: 0.24-1.00]、p=0.050*)。

*Cox比例ハザードモデル

承認時評価資料:Hori M et al.Circ J 2012; 76: 2104-2111

腎機能低下例(クレアチニンクリアランス30~49mL/min)における安全性・有効性(サブグループ解析)

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安全性:安全性解析対象集団/治験薬投与下、有効性:プロトコール適合集団/治験薬投与下

解析方法:Cox比例ハザードモデル

 

承認時評価資料:Hori M et al.Circ J 2013; 77: 632-638より作図

COI:本研究はバイエルの資金により行われた。また、著者にバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。

糖尿病患者における安全性・有効性(サブグループ解析)

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安全性:安全性解析対象集団/治験薬投与下、有効性:プロトコール適合集団/治験薬投与下

解析方法:Cox比例ハザードモデル

 

承認時評価資料より作図

有害事象

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承認時評価資料:Hori M et al.Circ J 2013; 77: 632-638より作図

COI:本研究はバイエルの資金により行われた。また、著者にバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。

2.

 

禁忌(次の患者には投与しないこと)(抜粋)

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉

2.10 

腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の患者

7.

用法及び用量に関連する注意

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉

7.1

クレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者には、10mgを1日1回投与する。

7.2

クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者には、本剤投与の適否を慎重に検討した上で、投与する場合は、10mgを1日1回投与する。

9.

特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)

9.2.2

重度の腎障害患者(クレアチニンクリアランス15~29mL/min)

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉

本剤投与の適否を慎重に検討すること。本剤の血中濃度が上昇することが示唆されている。国内外第Ⅲ相試験において除外されている。

9.2.3

中等度の腎障害のある患者
本剤投与の適否を慎重に検討すること。成人ではクレアチニンクリアランス30~49mL/min、小児ではeGFRが30~60mL/min/1.73m2の患者で本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、出血の危険性が増大することがある。

9.8

高齢者

一般に腎機能などの生理機能が低下している。なお、非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、重大な出血及び重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率が高かった。