出血時の対応

出血時の対応

Expert opinion

Managing Bleeding

Expert opinion:

十分なエビデンスがないため添付文書やガイドラインには記載されていないものの、イグザレルトを実地臨床で使用するにあたって参考となる情報を、監修委員の先生方のご意見をもとに記載した。なお、ガイドラインの変更や新たなエビデンス、市販後の情報収集によって、今後内容が変更となる可能性がある。

「イグザレルト適正使用ガイド」より抜粋

中等度・重度と考えられる出血

Expert opinion

 

次のような場合は、中等度・重度の出血と考えられるため、イグザレルト内服を中止したうえで、適正な処置が必要である。

・外科的処置を要する出血

・補液や血行動態管理を要する出血

・血液製剤(濃厚赤血球、新鮮凍結血漿など)又は血小板輸血を要する出血

・上記処置を現在は必要としないが、今後上記処置が必要となることが予想される出血

 

 

  • 脳内出血やくも膜下出血
  • ヘモグロビン値≧2g/dLの低下を伴う出血
  • 重要な臓器〔頭蓋内、髄腔内、眼内、心膜、関節内、筋肉内(コンパートメント症候群を伴う)、後腹膜〕の出血
  • 5分以上持続するか、あるいは反復性の鼻出血(ハンカチに点状のシミがつく程度よりも重症の出血が24時間以内に複数回)、またはインターベンション(パッキング、電気焼灼など)を要する鼻出血
  • 自然発生的肉眼的血尿または尿生殖路への手技(カテーテル留置または手術など)の後24時間以上持続する血尿
  • 肉眼で確認できる消化管出血で、臨床的に明らかな下血又は吐血がある場合
  • 数個の出血斑を認める程度よりも重症の直腸出血
  • 喀痰中に数個の血液の固まりを認める程度よりも重症の喀血
  • 25cm2以上、何らかの誘因がある場合は100cm2以上の皮下血腫
  • 多源性出血

 

・凝固因子製剤 (プロトロンビン複合体製剤、活性型プロトロンビン複合体製剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤)については、命を脅かす出血の際には使用を考慮できる。(注:臨床試験での限られた経験しかなく、使用については保険適応外になる。)

・出血時、PTを測定することで、イグザレルトの血漿中濃度をある程度推察できる。(ただし、直前の服薬時間と半減期および最高血中濃度到達時間を考慮する必要がある。)

・緊急に止血を要する大出血時に凝固因子製剤または新鮮凍結血漿等の投与を行うか否かの判断やその効果判定の指標にPTが有用である可能性がある。

・出血を助長する先天性・後天性の止血・凝固異常の有無を確認するためのスクリーニング検査として、PT、aPTT、フィブリノゲン、FDP、血小板数、出血時間等も考慮される。

 

「イグザレルト適正使用ガイド」より抜粋

出血リスクの確認

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以下の患者には慎重に投与をしていただくようお願いします。

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*:出血リスクが高い患者

止血障害、凝固障害、先天性又は後天性の出血性疾患、コントロールできない重症の高血圧症、血管性網膜症、活動性悪性腫瘍の患者、活動性の潰瘍性消化管障害の患者、消化管潰瘍発症後日の浅い患者、頭蓋内出血発症後日の浅い患者、脊髄内又は脳内に血管異常のある患者、脳脊髄や眼の手術後日の浅い患者、気管支拡張症又は肺出血の既往のある患者等

 

**:抗血小板剤、特に抗血小板剤2剤併用の患者

抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、イグザレルトとの併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用してください。

 

「イグザレルト適正使用ガイド」より抜粋

抗凝固療法中は、出血リスク軽減のため、 十分な血圧管理をお願いいたします

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脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017]

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日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会編:脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017]、協和企画2015より抜粋

日本高血圧治療ガイドライン2019

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現時点ではエビデンスは十分ではないが、抗血栓薬使用中の高血圧患者における頭蓋内出血を予防するためには、脳、心臓、腎臓などの虚血症状、所見に注意しながら、130/80mmHg未満を目指して降圧することが望ましい。

 

日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:日本高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)より抜粋