臨床試験:非弁膜症性心房細動に伴う脳梗塞急性期
RELAXED:観察研究
試験概要
RELAXED:観察研究
目的
非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳梗塞急性期/一過性脳虚血発作(TIA)におけるリバーロキサバンの有効性と安全性を、梗塞サイズ、抗凝固療法の開始時期、その他の背景因子を考慮して検討することで、個々の脳梗塞急性期患者に対するリバーロキサバンの至適投与開始時期を明らかにすること。
対象
中大脳動脈領域に梗塞またはTIAを認め、発症後30日以内にイグザレルトの投与を開始したNVAF患者 1,309例
方法
患者には原則としてリバーロキサバン1日15mgが投与され、クレアチニンクリアランス(CLcr) 15~49mL/minの腎機能低下例には1日10mgが投与された。観察期間は発症後90日とした。投与開始時期と梗塞サイズとの関係は、発症0~48時間以内に撮像されたMRI拡散強調画像を定量評価して検討した。
評価項目
- 有効性主要評価項目:
脳梗塞の再発 - 安全性主要評価項目:
重大な出血(症候性頭蓋内出血、PH2かつNIHSS4点以上増悪した出血性梗塞、その他のISTH基準の重大な出血に該当する出血)
判定基準
脳梗塞の再発は、持続時間が24時間を超え、MRI、CTで確認された脳梗塞とした。
重大な出血は、症候性頭蓋内出血、PH2かつNIHSS4点以上増悪した出血性梗塞、2g/dL以上のヘモグロビン量の低下を伴う出血、2単位以上の輸血(濃厚赤血球又は全血)が必要な出血、重要な臓器における出血、死因となった出血とした。
解析計画
事前に計画された解析として、梗塞サイズまたは入院時重症度と投与開始時期、イグザレルト投与開始時期及び梗塞サイズ、ヘパリン前投与有無別にそれぞれ脳梗塞の再発と重大な出血の発現状況を評価した。
PH2:明らかな圧迫所見を伴う梗塞領域の30%を超える血腫(SITS-MOST基準) NIHSS:NIH脳卒中スケール
Yasaka M et al, PLoS ONE 2019: 14: e0212354
本研究は、循環器病研究振興財団とバイエル薬品株式会社が研究契約を締結し、バイエル薬品株式会社が研究費用を支援した。バイエル薬品株式会社は、本研究の計画、実行、解析、評価には関与していない。
NVAF患者の脳梗塞急性期/TIAにおけるイグザレルトの有効性・安全性
主要評価項目
- 脳梗塞の再発と重大な出血の発現率(例数)
n=1,309
- 脳梗塞の再発と重大な出血発現の関連因子(多変量解析*)
解析方法:ロジスティック回帰(Firth法による推定)
*脳梗塞の再発はイグザレルト投与開始時期と脳梗塞サイズ(ベースモデル)、重大な出血はベースモデルと発症前の抗血小板薬ありを調整因子とした
Yasaka M et al, PLoS ONE 2019: 14: e0212354
本研究は、循環器病研究振興財団とバイエル薬品株式会社が研究契約を締結し、バイエル薬品株式会社が研究費用を支援した。バイエル薬品株式会社は、本研究の計画、実行、解析、評価には関与していない。
NVAF患者の脳梗塞急性期/TIAにおけるイグザレルトの至適投与開始時期
- イグザレルト投与開始時期別の脳梗塞の再発と重大な出血の発現状況
Yasaka M et al, PLoS ONE 2019: 14: e0212354
本研究は、循環器病研究振興財団とバイエル薬品株式会社が研究契約を締結し、バイエル薬品株式会社が研究費用を支援した。バイエル薬品株式会社は、本研究の計画、実行、解析、評価には関与していない。
有害事象
本研究におけるイグザレルト投与開始時期別の有害事象は、発症後3日未満で584例中27例(4.6%)、発症後3~7日以内で435例中28例(6.4%)、発症後8~14日以内で198例中11例(5.6%)、発症後15日以降で88例中6例(6.8%)に認められた。主な有害事象は心臓障害21例(1.6%)、感染症及び寄生虫症16例(1.2%)、呼吸器、胸郭及び縦隔12例(0.9%)であった。論文中に死亡に至った有害事象、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象の記載はなかった。
- イグザレルト投与開始時期別の出血事象を除く有害事象の発現率(例数)
不明の4例を除く
Yasaka M et al, PLoS ONE 2019: 14: e0212354
本研究は、循環器病研究振興財団とバイエル薬品株式会社が研究契約を締結し、バイエル薬品株式会社が研究費用を支援した。バイエル薬品株式会社は、本研究の計画、実行、解析、評価には関与していない。